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Benesse Art Site Naoshima
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針工場の広場で豊島のフルーツを販売する「かめだや」のお二人にお話を伺いました

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「お客さんとお話ししたら元気がもらえる。大変だとはまったく思わん」

「冷たいジェラートはいかがですか? 豊島で採れたいちごを使ったジェラートですよ」。豊島の針工場の芝生広場に、明るく元気な声が響きます。瀬戸内国際芸術祭2019の会期中(春会期:2019年4月26日~5月26日、夏会期:7月19日~8月25日、秋会期:9月28日~11月4日)、島のお母さんたちのコミュニティ「かめだや」の岩永さんと矢麦さんが、豊島を巡る人に向けて島で採れたフルーツや、島のフルーツを使ったジェラート、ジャムなどの販売を行っています。

「やっぱり人との繋がりが楽しいね。売れたら嬉しいし、お客さんともお話しできるやん。大変だとか苦労とかはまったく思わんよ」と語る岩永さん。島の新鮮なフルーツはもちろん、元気なお母さんたちと豊島のことを話したり、一緒に記念撮影したり交流できることが、たくさんの人々が「かめだや」の販売会に立ち寄る理由の一つになっているようです。

「『どこから来たの?』から話を始めて、いちごの話をしたり、豊島の話をしたり。私自身の話もしたし、その人も自分の話をしてくれる。産廃のことを尋ねる人もいる。いろんな人と出会って、いろんな楽しい話をしたら、こっちも元気がもらえるから」(岩永さん)

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「世界中からたくさんの人が来てくれるチャンスやから、できるだけのことをしたい」

「楽しいお客さんばっかりで、思い出がいっぱいある」と瀬戸内国際芸術祭2019の春会期を振り返る矢麦さん。ある海外の女性ゲストの方は、座った拍子にズボンのボタンが外れてしまい、慌てて矢麦さんが針と糸をご自宅から取ってきて、その場で縫い直してあげたそうです。また、宿泊先を決めないまま島を回っていた学生のために、地元の民泊に掛け合って一晩の寝床を確保したこともあったといいます。

「世界中からたくさんの人が豊島に来てくれるチャンスやから。島の人も協力して、できるだけのことをしたいと思う。家に帰っても、豊島での話を家族や友達にしてくれたら嬉しい」(矢麦さん)

島で暮らすお母さんたちとのこうした交流も、芸術祭を訪れる人にとって思い出深い体験になっているようです。

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「産廃問題があったからいちごを始めて、いちごがあったからお客さんたちとお話ができる」

豊かな水があり、農業と水産業の島だった豊島は、産業廃棄物の不法投棄問題による風評被害で深刻なダメージを受けました。そんななか、「ゴミの島」という豊島のイメージを変えようと約20年前に数軒の家族から始まったのが、いちごの水耕栽培だったといいます。豊島で生まれ育った矢麦さんもその一人でした。

「豊島の活性化のために自分たちで何かできんやろうかってみんなで話しあってね。誰も農業の経験がなかったのに。お父さんは船乗りの仕事があったから、いちごは私が頑張ろうって思って。産廃があったからいちごを始めて、いちごがあったからこうやって芸術祭にも携わらせてもらって、お客さんたちとたくさんお話ができる。そう考えると不思議やね」(矢麦さん)

いまや島の特産物のひとつになっている、豊島のいちご。その優しい甘味のなかには、島の誇りを取り戻すための努力を続けてこられた豊島のみなさんの強い思いも宿っているのです。

「かめだや」の販売会は瀬戸内国際芸術祭2019会期中(春会期:2019年4月26日~5月26日、夏会期:7月19日~8月25日、秋会期:9月28日~11月4日)、不定期で行われています。針工場にお越しの際は、ぜひ「かめだや」にも立ち寄って、島で暮らすお母さんたちとお話ししたり、豊島のフルーツを味わってみてはいかがでしょうか。

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